北アルプス 涸沢・北穂・南岳・槍 縦走録
H20.10.11〜13
単独行
標高の高い山では初冠雪もあり紅葉が見頃を迎えております。普段泊まりで山に行くことができず
日帰りばかりの山行で山で見る朝夕の絶景から遠のいております。10月11日からの3連休は地区
の運動会、職場の親睦団体の運動大会といずれも真中の12日にありましたがご無礼させていただき、
3年ぶりに泊まりで行くことにしました。行き先は日本で一番遠い温泉といわれる北ア「高天ヶ原温泉」
を第一候補としましたが、今年の山小屋営業が終了しており諦め、3年前雨で山頂を踏めなかった槍
を目指すことにしました。
涸沢入口 本谷橋 涸沢小屋のテラスからの前穂高岳
混雑が予想され沢渡の駐車場が満車になる前に行こうと11日午前0時に家を出発。3時前に沢渡の駐車場に着。まだ余裕が
ありほっとして少し仮眠をし、5時にタクシー相乗りで上高地に入りました。もし満車だったら新穂高まで行って新穂高温泉から
槍平経由で行こうと考えておりました。上高地を雨の中6時出発。横尾には予定より早い8時40分に到着。ここで右の槍方面と
左の涸沢のどっちに向かおうか迷いました。雨が降っていたため無理をせず1日目は涸沢に泊まることにしました。横尾から涸
沢までの凄い登山者の数には驚きで、渋滞状態でした。涸沢ヒュッテと涸沢小屋の二つの小屋があり、上部の方が混雑しない
だろうと考え涸沢小屋に泊まることにしました。13時半に小屋に到着し部屋を聞いてザックを置きに行ったところ8畳に30人とい
う混み具合でした。夕食は70人づつ5回の交代で、早い到着者は16時半からの夕食で私は17時15分からでした。
涸沢テント村 涸沢小屋テラスより モルゲンロート 涸沢ヒュッテ裏より
夕食後、テラスで写真を撮り20時頃就寝しました。端から頭と足を交互にして横になりました。疲れているため皆直ぐに眠り
に付いたようでした。私も気が付いて起きたのが2時頃で、外の星が気になったのでデジカメと三脚を持ってテラスに行ってみ
ました。凄い星空で前穂の尾根の上にオリオン座や天の川が見え、夢中で写真を撮りました。
私一人だけだったのが2,3人
起きてきて同じように写真を撮っておりました。朝食は4時半からということで先着順のため一番乗りで並んで待っていました。
二日目 朝食後出発準備をし、撮影ポイントを探しながらヒュッテ方面へ下っていくと三脚を構えたカメラマンがいるわいるわ。ヒュッ
テ裏にあるナナカマドを入れて涸沢カールを写そうと構えたところ、既に前にカメラマンがいて邪魔なのだが後から来ておいて
「どいて」とも言えない。何とかナナカマドの影に隠して撮影しました。定番の涸沢の写真ですが最高の天気と紅葉で、やはり
ここに来ると写してしまいます。
北穂山頂からの槍ヶ岳方面 10:33 大キレット 北穂側から 11:23 キレット途中からの北穂高岳
涸沢をベースに北穂と奥穂に登る登山者が圧倒的に多いようで、北穂の山頂は何処に腰を下ろしたらいいのか分からないほ
どの混みようでした。私は槍ヶ岳方面へ、今日泊まる南岳小屋を目指し大キレット方面に向かいました。北穂を下りかけたので
すが前にも後ろにも誰も登山者がいない。北穂山頂小屋からはおおぜいのギャラリーが急斜面を下りていく私を見守っていて
くれました。カメラが入って三脚が付いたザックは下りでは岩に引っ掛け大変危険で、急斜面や鎖場では腹ばいで三点確保で
降りました。大キレットは下りでの落石や転落事故が多く、 一週間ほど前にも中年の男性が転落して亡くなっており、難所コー
スです。槍ヶ岳方面から向かってくる登山者と数パーティすれ違いましたが、北穂からのパーティは私の他数名だけでした。32
年前に槍方面から縦走した時はそれほど危険を感じなかったのですが、今回は逆コースで、北穂の下りは正直怖かったです。
北穂から槍方面への縦走は一般的ではないようです。
南岳小屋と北穂、奥穂方面 白山に沈む夕陽 手前は笠ヶ岳 南岳小屋より
南岳小屋には15時に到着。小屋の営業は明日までということで昨晩のような混雑はなく2畳に3人くらいで寝られそうでした。
夕食が17時15分からということでそれまで小屋周辺で写真を撮りました。17時頃から西の空が段々と赤く染まりもうちょっと
撮影したいところでしたが夕食時間も迫り、引き上げて小屋に戻ったところ食堂には誰一人もおらず、小屋の人に聞いたら「夕
陽がきれいですので時間を遅らせております」とのこと。思わず「ヘエー」慌ててまた小屋の外に飛び出す。気の利いてるという
か登山者の気持ちを汲んでくれているというか、でもそんな事を知らない私は慌ててしまい決定的瞬間を撮り損ねたような気が
します。夕食は昨晩の涸沢小屋にも負けず劣らずの豪華な食事で、かみさんに家の夕食より豪華だったと話したら「外で食べ
た時に美味しく感じるようにしているんだ」と言ってご機嫌斜めのようでした。
夜明け前の常念山脈 南岳山頂にて 4:40 大喰岳(おおばみ)からの槍ヶ岳 8:14
三日目 南岳小屋の朝食は6時ということで槍を経由して上高地まで下るためには早出しなくてはならず、朝食をお断りしておき、4時
に小屋を出発。満天の星空の下、南岳山頂にヘッドランプを点けて向かう。途中流れ星が見れ、天の川も見られる。小屋にまだ
眠っている人たちはこの大自然の織り成すドラマを知らないのかと残念に思うのでありました。山頂に着いて寒い中、デジカメを
セットしていると小屋から一人登って来たようでやはり写真が目的のようでした。ファインダーを覗いても暗くて見えず、感で槍を
入れて写してみました。すぐにモニターで確認してみたところ「写ってる。星もきれいだ」感激。槍、穂高、常念とカメラを振り星空
を撮影。デジカメならではの成せる業です。あまり写真に夢中になっていると先に進めず、槍へと急ぐ。
槍ヶ岳山荘 8:51 槍沢の紅葉 正面は大喰岳 12:12
槍ヶ岳山荘に到着。南岳小屋にもあったがバイオトイレといって微生物で分解するトイレがあり、ヘリで運ぶ費用も入れて2百
万円かかっているとのことで使用料100円を投入する。槍ヶ岳山荘は既に登山者が出た後でひっそりとして、双六岳から来たと
いう人が数人いただけでした。ザックを山荘のテラスに置いてカメラだけ持って槍に登りました。頂上への最後の鉄ハシゴは垂直
で長く緊張しました。頂上にはアメリカ人と思われる外人さんともう一人男性登山者がいただけでした。槍の山頂は実に30年ぶり
だと思います。日本を代表する名峰「槍ヶ岳」に3度目の登頂ができました。ここで今回の山は全て終了です。後は上高地へと下
るのみ。槍から上高地まで22kmあります。山荘を10時に出発し槍沢を下りました。槍沢の紅葉も涸沢に負けない紅葉で、特に
黄色が鮮やかでした。横尾に14時40分に到着し小休止のつもりが、高齢の二人組に涸沢と槍沢の紅葉の様子を聞かれカメラ談
義になってしまい横尾を出たのが15時17分。 まだ残り11Kmの道のり、ゆっくりした分を取り戻そうとピッチを上げたのがたたり、
マメができたのか徳沢あたりから足の裏が痛くペースダウン。毎度の事ですが横尾から上高地までの帰りは長いですね。2時間
は切れませんでしたが17時30分にはバスターミナルに到着できました。沢渡でバスから降りて駐車場の車までの数十メートルが
まともに歩けませんでした。30分前まで1時間に5Kmのペースで歩けていたのに…気が緩んだためとしか考えられませんね。
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